DeepSeek の二つの戦線
V4 正式版が目前に迫り、新世代のより大規模なモデルが開発中。DeepSeek はクローズドソースへの挑戦から、オープンソース同士の正面衝突へと転換した。
DeepSeek は長らく「小さくとも精巧」という印象を与えてきた。V2 は推論コストを GPT-4 の百分の一に削減し、V3 は 6710億パラメータの規模でクローズドソースの旗艦に肩を並べた。どちらもアーキテクチャ革新と学習効率の道を歩んだ。パラメータ規模を追いかけない。
最近、風向きが変わった。
X でこの企業を長期追跡しているブロガー Teortaxes が二つの情報をリークした。V4 の正式版のリリースは間近で、能力は智譜(Zhipu)GLM-5.2 に迫るレベルに達する見込みだという。より重要なのはもう一つの情報で、DeepSeek はすでにさらに大規模な新モデルの開発に着手しており、目標は 2.7兆パラメータと噂される MiniMax Pro だという。
第一条は驚きではない。V4 のプレビュー版は4月末にオープンソース公開されており、コンテキスト長は百万トークン、重みは自由にダウンロードできる。いわば正式リリースは仕上げ作業に近い。Teortaxes は V4 を「小規模だが学習が不十分」と評し、次世代の超大規模モデルと比較すると見劣りがするという。DeepSeek 自身の技術レポートも控えめで、V4 全体が GPT-5.4 や Gemini-3.1-Pro にわずかに及ばず、最先端モデルから三〜六ヶ月遅れていることを認めている。大げさに宣伝はしないが、現状に甘んじることもない。
第二条こそが本当に面白い部分だ。
DeepSeek が超大規模モデルの領域に進出するということは、これまで自らが避けてきたレースにあえて飛び込むことを意味する。より重要なのは、戦う相手が変わったことだ。以前の仮想敵は OpenAI、Anthropic などのクローズドソース企業で、オープンソースと低コストを武器に切り込んでいた。今は直接 MiniMax、智譜といった同業他社と真っ向から勝負する立場に変わった。
こうして DeepSeek の立ち位置は完全に変わった。「クローズドソースへの挑戦者」から「同業者と規模を競うプレイヤー」へ。オープンソース陣営内部の競争は以前はそれぞれ黙々とモデルを開発していたが、今や正面からの競い合いが始まっている。この動きは V4 そのものよりもはるかに重要だ。
リークの重みは見極める必要がある。Teortaxes は筋金入りの DeepSeek ファンとして知られ、2023年から一貫して同社を擁護してきた。本人も投稿の中で「純粋な願望に聞こえる」と認めている。あの 15兆パラメータのスクリーンショットは元は社員の冗談で、中国語コミュニティが真に受けた。今後の方向性を示すシグナルとして受け止めるのはよいが、確定したロードマップとして鵜呑みにするのは早計だ。
開発リズムは紛れもない事実だ。V4 でオープンソース分野における最先端の地位を固め、次世代モデルはさらなる高みを目指す。二つの路線が並行して推進されている。オープンソースモデル同士の本格的な覇権争いは、予想より早く始まるかもしれない。
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